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分子スケールナノサイエンスセンター 分子研リポート2002 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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4-7 分子スケールナノサイエンスセンター(流動研究部門)

国内評価委員会開催日:平成14年12月16日 委 員 伊吹 紀男 (京都教育大理,教授)

笠井 俊夫 (阪大院理,教授) 石田 俊正 (分子研,助教授) 藤原 昌夫 (分子研,助手) 大庭  亨 (分子研,助手) 奥平 幸司 (分子研,助教授)  久保園芳博 (分子研,助手) 西  信之 (分子研,教授) 宇理須恒雄 (分子研,教授) オブザーバ 茅  幸二 (分子研,所長)

4-7-1 点検評価国内委員会の報告

以下の項目について討論を行った。

1) 分子研で平成9年11月に一度流動部門の点検評価を行った。このときの討論内容を参考に,再度流動部門制度の良 い点,問題点について。

2) 九州大学有機化学基礎研究センターの点検評価結果についての感想。 3) 流動部門は廃止すべきか存続すべきか。

4) どのように制度改革をしたら良いか

*具体的に挙げられた問題それぞれについて解決策を議論。 5) 客員研究員制度案について。

6) その他の意見。

討論内容

討論にはいるまえに,平成9年の点検評価結果(分子研リポート’97)および,九州大学有機化学基礎研究センター の点検評価結果のサマリーについて宇理須教授より資料として配付。

所内委員J:3年に一度点検評価をやっている。流動部門は大学には好まれていないようだが,流動した教官には良 い評価を受けている制度のようだ。分子研は来年度までは決まっているが,法人化の年である平成16年 度は一旦休止する予定である。全国共同利用研究所として流動部門制度は重要な制度であると考えてい るが,実施するにあたっては,色々困難な問題もあり皆様のご意見を伺いたい。

所外委員A:流動制度が発足して15∼6年になる,その間で分子研から見た流動の長所,短所はどのようですか。 所内委員H:分子研は全国共同利用研究所である。流動があることにより,人的流動の促進,共同研究の機会の増大,

情報の共有などメリットが多い。また,分子研に分野的に欠けている部分を補いその分野を発展させる という機能もある。

所内委員J:流動で滞在中に成果をあげなくても,流動元に戻って何年かたって成果が実を結んでくれれば大成功と

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思っている。このような種をまくというような機能は共同利用研究所の重要な役目の一つと考える。ま た,所外の人に分子研を理解してもらうといううえでも流動は機能していると思う。

所内委員I:私は大学での研究経験がないが,流動部門の教官の人たちとの交流を通して,分子研とは異なった大学 の組織や教育研究の体制を知る良い機会となっている。 分子研にとってのデメリットは何でしょうか? 所外委員A:流動教官を捜すのが大変で多くの時間を割かなくてはいけないことでしょうか?

所内委員J:流動元の大学を説得するのが大変だ。

所内委員I:平成15,16年度の流動教官については,学科長や流動教官の上司が茅先生が良くご存じの方々であった ため,驚くほどスムーズに話しがまとまった。本当はこのようなつながりを頼りにしなければならない のは良くないのであるが。

所外委員B:平成16年からは実定員が決まるので,大学側は教官を流動で出すことを極度に嫌うと思われる。流動を 実行することは極めて困難となることが予測されます。

所内委員J:16年度は無理と判断し,この年度については一旦休止の方針です。

所外委員B:流動は良い事であるが,続けるのは非常に困難と思われる。新しいシステムを考案する必要があるよう に思う。

所外委員A:平成9年度の点検・評価を見ると,流動の問題点,デメリットとしてあげられている点については,“ な いものねだり” というべき内容のものもある。流動にはもともとリスクがある。リスクを負っても来た い人が来れば良く,分子研がリスクを負う必要は無いのではないか。デメリットの多くは個人で解決で きる問題が多い。分子研として解決すべき問題点としては2点あると思う。一つは流動元の大学にたい し説得力のあるようにすること,もう一つは大学院生を連れて来やすくすることや,ポスドクをつける ことなどである。アンケートで助教授や助手は仕事が進んだと言っている人が多いが,裏返すと教授に とってはあまり意味が無いのではないかと思う。今後の流動では助教授と助手を中心としたシステムが 有効であろう。

所内委員J:流動元の大学に説得力のあるものとするのはかなり難しい。大学院生を連れてこられるときは特別共同 利用研究員として受け入れ,年間一人あたり60万円ほどの補助を出している。ほぼアパートを借りるの に必要な額だ。教授は忙しすぎるので助教授や助手に重点をおいても良いかもしれない。

所内委員I:その大学が大学院重点化を進めているときは特に教授にきてもらうのは大変だった。

所外委員B:教授は実際には実験が出来ないので,助教授や助手を出すと仕事にならない。個人はよくても組織とし ては困ってしまうことがある。

所内委員I:サバテイカル制度とリンクできないか。

所外委員B:エキストラの人がいないかぎりサバテイカルは無理ではないか。C OE は競争だから,C OE になると成果 をださなくてはならず,ますます人を出せなくなる。

所内委員J:考え方の問題で,流動を経験すると良い評価が得られるようにするべきだ。現在は論文の数で評価され る傾向にあるが,それではいけない。

所内委員D:流動元をカバーするシステムが必要だ。

所外委員B:米国などは移動する方が評価が高い。文化の違いだ。流動性が良い人ほど良い評価が得られると良い。 所外委員A:システムとして評価されないといけない。たとえば,大学評価・学位授与機構の項目の1つに流動を受 け入れたかどうかを入れて,制度としての評価があれば学長レベルでも説得をしやすい。また,説得す

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るには過去の実績を活用することが重要である。 所外委員B:流動が止まるとサイエンスが失速すると思われる。 所内委員D:どうやって評価するのか。

所外委員B:実績が重要だ。

所外委員A:概算要求で流動部門を要求するのか。

所内委員J:中期計画で要求する。法人化後は概算要求ではない。

所外委員B:研究室の配属のときも問題が生ずる。流動の先生のところには学生が来にくい。若い人に流動してもらっ た方が良い。年をとると刺激ににぶくなる。分子研はインターナショナルなので若い人には良い。 所内委員D:助手,助教授,教授はバラバラな方が良い。

所内委員E:流動は非常に良い。お金と設備に恵まれ,デューティが無い。 所外委員B:単位の互換をやると,文部科学省は任務の放棄ととる。

所内委員H:博士後期は問題ない。前期は単位が多いので大変。前期をすべて分子研でとるのは大変だし,分野が専 門的すぎる可能性が高く,その学生にとって不利益かもしれない。

所内委員G:学生には集中講義を受けてもらっている。すべてのデメリットはお金で解決する。流動の教官を研究テー マのプロポーザルを評価して決めてはどうか。分子スケールナノサイエンスセンターの中期目標にあう 申請を出す方式が良いのでは。

所外委員B:プロジェクト的な研究になってしまう。それでは長期的な研究はできない。 所内委員D:しかし,研究所はある程度のスクラップアンドビルトが必要なのではないか。

所内委員J:若い人はやりたいことをやりそこから新しいサイエンスを生み出して欲しい。日本は文化として伝統的 なサイエンスに従事しがちであるが,若い人については,新しいサイエンスを作る人を育ててゆきたい。 公募をすることは良いが,一年でできるようなプロポーザルを出して欲しくはない。何とか新しいサイ エンスを立ち上げて欲しい。

所外委員B:論文は3報以上出さないなどと制限するのはどうか。 所内委員D:実際問題論文を多く書かないといけない。

所外委員B:公募の裏話しでは,論文数でスクリーニングされるということもある。 所内委員D:流動は短期なのでプロジェクト的で良いのでは。

所内委員J:装置を新しく作った場合,一年二年ではできない。

所外委員B:研究所では長期の目的が必要。プロジェクト的になるべきではない。 所内委員J:日本全体がプロジェクト指向になっているのに不安を覚える。 所内委員J:アメリカはチャレンジ精神を尊重するが,日本は体質的に保守的。

所内委員D:アメリカ人でも,あまりの競争社会のため,ストレスを感じている人が多い。

所内委員J:流動部門を短期のプロジェクト的にするつもりはない。しかし,公募という方式は良いかもしれない。 所内委員F:この分子研の流動制度は知られていない。千葉大でもあまり知られていない。

所内委員D:公募して人が集まらなければ止めればよいのでは。

所外委員A:今までの流動の形は閉じて,公募も含めて新しいシステムの流動にすると良いのでは。

所内委員H:最初2年流動で後の2年客員なら人が来る。分子研の中には反対する人が多いが,分子スケールナノサ イエンスセンターのような目的がはっきりしているときは良いのではないか。

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所内委員J:客員は制度が中途半端なところがある。客員で研究成果をあげるのは大変だ。

―休憩―

所内委員I:後半は,どのような制度にしていったらよいか具体的な提案をしていただけませんか。

所内委員C:部門の構成を緩和して,助教授2助手2とかにできないか。流動元が流動を促進できるように流動を評 価してもらうように,例えば,お金を手当するとか,あるいは,大学評価・学位授与機構や文部科学省 に,流動の実績を大学評価の一つに考えていただくなどのことはできないか。

所内委員F:教授の先生は,大学では大講座制なので,呼ぶのは大変だろう。公立,私立からの流動が可能にならな いのはなぜか。

所内委員J:ポストを動かせないのでできない。客員であればできる。

所内委員G:アイデア公募型の流動ポストはどうか。例えば,地方の優秀な方を分子研に呼んで,良い研究環境で研 究をしてもらうことが出来るのではないか。

所内委員J:科学は実績主義だが,アイデア指向で選考してはどうか。 所内委員H:科研費は実績主義になっている。

所内委員I:分子研ではアイデアの評価ができる可能性があるのではないか。 所内委員J:分子研は実績主義でないものにしたい。

所内委員D:2部門中どちらかでも公募制にしてはどうか。プロジェクト的にするか長期的なものにするかは公募要 項に明記するようにしたらよい。

所外委員B:独立行政法人になるとこれまでの流動を実施するのは不可能なのでは無いか。しかし,研究所の交流は 必要なので,「双方向の流動」ができないか。併任ではなく,兼任教官制度はできないか。

所内委員J:兼任では意味が無いのでは無いか。

所内委員H:兼任は組織の内部なら可能だが,外の組織からはできない。 所内委員I:客員なら良いのでは。

所内委員H:生理研では5年間の客員がある。

所外委員A:流動で出るときのバリアは流動元がマイナスの影響を受けることだ。分子研で非常勤講師を雇い流動元 の講義をカバー出来るとバリアは下がると思う。

所外委員B:分子研だけがんばっても流動元は否定的だろう。C OE が特に問題だ。C OE になると外にでれない。学内 でも競争だ。

所内委員H:流動に決まったらメンバーから外されるのでは。

所外委員B:大学では C OE が走っていると流動に人を出せない。兼任なら C OE と分子研の実績になる。しかし,兼 任は内部のみなので分子研との兼任は出来ない。

所内委員J:法人化が始まる平成16年度は無理だ。

所外委員B:定員は埋めないと削られるので人を埋めている。流動であけると定員を削られるのでは無いか。 所内委員E:流動をオープンにし,C OE が関係ないような小さな大学からでも来れるようなシステムが欲しい。失敗

を評価するようなシステムが欲しい。

所内委員H:流動のシステムの見直しを行う必要があるという意見が多い。ただし,流動の資金が止められたので問 題が生じている。

所内委員J:色々な予算があるが流動の資金自体がなくなるので難しい。UV S OR 運営資金も分子スケールナノサイエ

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ンスセンターの資金も厳しくなるだろう。流動の資金を捻出するのは難しい。中期目標が通るかどうか による。

所内委員H:大学の方では概算要求しなくて良くなる。中期計画に書いてないからという理由ではねられる可能性が ある。

所内委員J:若い人にオープンにして,分子研で良い装置を作り良い実験をして,装置を持って帰れるようなシステ ムを共同利用研究所として維持したい。しかし,たまに悲観的になる。法人化後は文科省の仲介がなく なるわけで,交渉は今より難しくなる可能性がある。大学ごとに対応が異なると予測される。

なお,本討論ののち,後日,外部評価委員より,下記のコメントをいただきました。

4-7-2 国内委員の意見書

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員A (1) 前回(平成9年11月)の「点検評価と課題」の特徴として下記のことがあると思う。

・ 流動経験者は基本的に流動部門制度を積極的に評価しており,その内容の10項目(p.188)は教授,助教授,助手と も一致している。

・ 流動経験の結果として「研究活動が大いに進展した」「進展した」という評価は助手・助教授が多い。

・ 問題として列挙されている24項目(p.190–191)の中には当事者が解決できるあるいはしなければならないものがか なり多く含まれている(「無いものねだり」的な要素がある)。これらの内,個人的に解決できない課題は,流動元大 学が出さなければならない減員概算要求に対する本能的な拒否反応であろう。(これ以外に同行する大学院生の経済 的な負担の問題があるが,現在は大きく改善されているとのことである)。

(2) 流動部門の歴史的な経過と法人化の可能性を考慮したとき,流動部門制を存続するとすれば次の点を考慮すること が必要であると考える。

a) 分子科学を発展させるためには,共同利用研究が重要であることを広く知らせる努力をする。

b) 流動教官およびその研究課題について,公募も含めて広く認知されるシステムを構築する必要がある。なお,ここ でいう「公募」では,プロジェクト研究であるかどうかを必ずしも必要条件としない。

c) 前回の「点検評価と課題」に基づけば,教授の流動を排除するものではないが,流動教官としては助教授と助手が 望ましい。

d) 流動元大学の拒否反応を低減するために,たとえば,分子研が費用負担をする非常勤教官の派遣の可能性などを検 討することは必須である。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 委員B 分子科学研究所が主導する流動研究部門制度は,今日まで多くの流動研究者と受け入れ側である分子研研究者の双 方に対して,創造的研究・若手研究者育成を進める上で,非常に新鮮で有意義なインパクトを与えてきた。このこと は自然科学研究を遂行するには,人的交流に基づく多様性のある視点がいかに大切であるかを示すものである。

一方,現行の流動研究部門制度は流動元の大学から流動先の分子研への教官ポスト移籍という概算要求の手続きを 踏まなければならない複雑さの上に成り立っている。平成16年度から開始される大学・国立研究所等の法人化という 時代背景を勘案すると現行のままの流動研究部門制度の継続は,極めて困難であろう。

従って,上記の相反する要件を満足させる新たな流動研究部門制度の一刻も早い構築が望まれる。その一案は,現

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行の分子研客員研究部門制度の利点を生かし欠点を改訂することによる客員制度の活性化ではないであろうか。すな わち,2年以上の比較的長期に渡り客員研究者が分子研において実質的に研究を行うことである。その際,客員研究 者が単独または分子研研究者と共同で研究が推進できるだけの十分な研究費・旅費と研究環境の提供が必要であろう。 加えて,客員研究者が所属する大学の学生・共同研究者も客員期間中に分子研で断続的に往来して研究に参画できる ような幅のある運営が望ましいであろう。

どのような形態であれ,研究者の交流を促進する制度を設けて流動研究部門制度の精神を継続させることは,将来 に亘る分子研の創造的研究推進に不可欠であると考える。

参照

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